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多趣味な営業ウーマン(寂しい独り暮らし)が、自己顕示欲のままに日々徒然!

【読書録】夜明けの街で

私には趣味がいくつかある。

写真、旅行、絵、英会話、アイドルの応援etc...

その中でも最も歴史が長い趣味は、読書だ。

実用書はあまり読まないが、とにかく小説が好き。年間で言うと、70冊位だろうか。週に1冊強程度のペースで読み続けている。

読書が好きになったのは、中学時代だ。

今もあるのかどうかわからないが、当時の私はゆとり教育の恩恵を受け始めたばかり。学校へ行くと、毎日『朝読書』なる時間を半強制的に取らされていた。

漫画は好きだったが、なにぶん両親が小説を読まないもので、読書習慣はまるきりなかった私。
朝読書の時間には毎日、教室の本棚にしまわれた人気のない本(伊東マンショやら千々石ミゲルの出てくる、天正遣欧少年使節団の物語)をじっくり読んでいた。(今思えばJCの読む物ではないけど、歴史が好きだったので…笑)

ある日、当時隣の席だった男の子が、一冊の本を読んでいた。授業中も休み時間も手を止めずに夢中でその本に対峙していた。
興味を持って何を読んでいるのか尋ねると
それは、東野圭吾の『分身』だった。

レモンの写真が表紙に映っていることでもおなじみ。数年前に、長澤まさみ主演でドラマ化もされた作品である。
彼が読み終わった後に貸してもらい読んだのだが、後にも先にもあんなに強烈な読書体験はなかった。そんな風に思うほど、私にとって大きなきっかけとなった本だある。

そんなこんなで、たちまち東野圭吾作品にはまり、読書フリークになっていった。
今となっては他に好きな作家さんも沢山いるが、私にとって東野圭吾は読書の原点だ。

さて、前置きが長くなったが
今回手にとったのは
『夜明けの街で』

東野圭吾の中でも、ミステリー色が強いものより人間ドラマに重きを置く作品が好きなので、こちらはかなりストライクな本だった。

木曜ドラマ『昼顔』が大ヒットしていることからもわかるように
不倫をテーマにしてタブーに触れた物語は、多くの需要があるのだと改めて感じている。
実際、身近に不倫に興じている人は、少なからずいる。
知っているか知らないかは別として、ある程度の年齢以上の人なら、身の周りに清廉潔白な人しかいないという人はかなり珍しいのではないか…最近はそうとまで思ってきている。高校生までは、自分や友達が浮気や不倫の当事者になることなんて思いもよらなかったのに…とほほ。


『夜明けの街で』は、会社にやってきた派遣社員との不倫を描いている。おそらく、世の多くの人たちが思い描く不倫の典型だろう。物語には不倫の要素とは別に、ヒロイン秋葉が抱える過去の凄惨な事件の秘密が絡んでくるが、今回はあくまで不倫について触れたい。

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私が今まで読んできた不倫を扱ってきた作品の中では、ふたつの共通点がある。
ひとつは、決してハッピーエンドでは終わらせないこと
そしてふたつめは、必ずパートナーは浮気の事実に気が付いていることである。

もちろん小説だから、浮気に気づかれずハッピーエンドなんていう内容ではつまらないということもあるかもしれない。
だが、不倫の事実には(特に男性が浮気している場合において)女性は気が付く。これは本当だ。

『夜明けの街で』では、普段と何も変わらない態度で夫を迎えていた妻が、卵の殻で作ったサンタの置物を大量に潰して壊していた事実が最後に明かされる。
なぜ問い詰めないのか、なぜ怒ったりやめるように訴えたりせず、鬱々とした気持ちを卵にぶつけたいたのか。

話は少し逸れるが、私は浮気をされたことがある。
しかも、携帯の履歴だとか彼の態度だとかそういったものを見て気が付いたのではなく、矢口真里的に真っ最中に遭遇してしまったことによる発覚だった笑

当然彼の方が言い逃れを出来る状況ではなかったが、必死で謝る彼を見ながら私はどこか覚めた気持ちを持っていたことを思い出す。
その後も度々浮気をしていた彼。疑う場面は何度もあったが、小説に登場する妻と同様、なぜだか気づかないフリをしていた。
(おうちでは泣いたりしたけどね笑)

なぜ気づかないフリをしていたのかと言うと
浮気に気付いてヒステリックになるような、典型的な嫌な女にだけはなりたくなかったからだ。
だから、なにも気付かないフリをした。つまるところ、プライドをなんとか保つためですね。そして責めても彼の心は離れていくだけだとわかっているから。

俺の彼女はバカだから、女房はバカだから、絶対に気付かない…こんなことを思っている男性がいらっしゃったら、要注意ですよ。
女性は意外と、したたかで勘が鋭い生き物です。
浮気されても気付かない、鈍感でバカな女のフリをする…それが精一杯の強がりと、男性への愛情なのです。そうしてプライドを守っているのです。


まあでも、熱病のような恋に落ちることって、皆あると思います。
私は不倫反対派ではありません。多分不倫がこの世から撲滅されることはありえないし、数人にひとりは経験するようなことだからこんなに大きな社会人テーマになっているわけだし。漫画『アラサーちゃん』では、不倫のことを『予防接種』なんていう呼び方をしている位だ。笑

私ももしかしたらそのうちそんな深みにハマることもないとは言えないかもしれない。
ただ、するのであれば、やはりパートナーには気づかれないようにすること。これが最低限のマナーですな。
『夜明けの街で』の新谷が言うように
クリスマスやバレンタインに一緒に過ごすなどもってのほか。隠せないならしちゃだめですね。それが一つの背負うべき十字架です。
なぜなら『不倫をしている』方は気軽に友人に話をできても、『不倫をされている』方は誰にも相談できないから。
人は自分を『不倫されるような人間』と認識したくないものです。だから家族はもちろん、仲の良い友達にも絶対に相談しません。かわいそうな人になりたくないもの。
バレたその瞬間、大きな十字架を背負うのは自分だけではなくなるってこと

わかった上で不倫しましょうね。

…なんか不倫のススメみたいになってしまいました笑